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本書は、世にある類書とは一線を画する。

【はじめに】150円で、ここまでする「とある店」。

―質問。

商品の品質が同じだとして、
「安い店」と「高い店」の
どちらを選ぶだろうか?

「とあるクリーニング店」がある。
このお店の洗い方はすごい。

なんと、ワイシャツを、「お湯」で洗っているのである。
なぜ、ワイシャツをお湯で洗うのだろうか? 例えば、食器を洗うときはお湯で洗うと思う。理由は、水よりもお湯で洗った方が、汚れ落ちが良いからだ。
当然、お湯で洗う方が光熱費はかかる。だが、このクリーニング店は、お客様のために、あえてお湯で洗っている。

しかも、これだけでは無い。ワイシャツは、エリやソデに汚れがこびりつきやすい。その汚れを落とすために全体の洗う強度を強めてしまうと、他の薄い生地の部分が傷みやすくなってしまう。そこで、このクリーニング店は「プレ処理」を行う。つけ置きして、汚れを浮かした後で、お湯で洗うのだ。

さらに、手が込んでいる。すすぐときもお湯を使う。その方が、汚れ落ちがいいからである。しかも、あえて温度変化をつける。洗うお湯は60度だが、すすぐときは、50度のお湯で注ぐ。なぜなら、温度変化をつけることで、洗いによって伸びがちになっていたワイシャツの生地が引き締まるからだ。

これでも話は終わらない。汚れというのは、温度によって落ち方が変わってくる。(厳密に言うと、洗剤が反応するのに適切な温度が必要だということらしいが)。前述した「60度の洗い」と、「50度のすすぎ」だけでは、取れてない汚れも存在する。
だからもう一度洗う。次は55度のお湯であらったものを、45度のお湯ですすぐ。つまり、この店では、1枚のワイシャツを2回洗っているのである。

その後、乾かし、プレスをするのだが、洗うだけでもこれだけのことを行っているのだ。誌面の都合上、書き切れないが乾燥やプレスにも相当なこだわりを持っている。

  • この「とあるクリーニング店」のワイシャツが1枚150円。
  • 近隣のライバルクリーニング店のワイシャツも1枚150円。

価格が同じであれば、あなたはどちらのクリーニング店を選ぶだろう? 
当然、前者だろう。いや、価格が多少高くたって、「ワイシャツを大事にしたい」、「ワイシャツをいつもパリッとしておきたい」と思う方は、前者を選ぶはずある。

とあるクリーニング店の正体

「高田さん、それは話が違う。そこまでの品質の違いがあれば、前者を選ぶけれども、質問は品質に違いが無いことが前提だったでしょう」と思っているかもしない。

だが、そうでは無い。
この「とあるクリーニング店」の洗い方。これは・・・日本全国、わりと多くのクリーニング店がやっていることなのだ。「温度設定」や「洗う回数」「プレ処理をどうするか」などは、お店ごとに違いがあるものの、実際にはもっと細かいことまでやっていて、話を聞くと「ここまでやってくれて本当に150円でいいの?」と思ってしまうお店もあるほどだ。
ところが、肝心のお店側が、このすごさに気づかない。
「そんなこと、よそのクリーニング店でもやっていることだし、お客様も知っている」と勝手に思っている。
でも、・・・あなたはこの洗い方を知っていただろうか? 恐らく知らなかったはずだ。では、この「とあるクリーニング店」が伝えたことは何なのか?
―そう。

価値観だ。

その業界からしてみると、当たり前のことかもしれないが、素人のお客様からしてみると、「そこまでこだわってやっているの!」ということが、たくさんある。お客様は、あなたのようなプロでは無い。あなたが思っている以上に、正しい知識を知らないのだ。だからそれを伝え始めると、「あのお店だけが、そこまでこだわってやっている」と思い、新規客が集まりはじめる。

隣のライバル店は「うちも、同じことをしているのに、なんであのお店にお客様は集まるの?」と、きっと首をかしげているだろう。理由は簡単。ライバル店では、伝えていないからだ。お客様からしてみれば・・・

お店が伝えていないことは、やっていないに等しい  のである。

 だからこそ、あなたのお店は、この「価値観」を伝えよう。もちろん、何をどう伝えれば良いかは、本書で詳細に紹介する。

 本書はタイトル通り「新しいお客様を集める」ことに焦点をあてた本である。
だが、世にある類書とは一線を画する。現在、多くのお店が、安さを売りにして新規客を集めている。だが、大きな割引で集めたお客様は「1回きり」で終わりやすい。
いくら新規客をたくさん集めても、1回きりのお客様ばかりでは、売上は増えない。毎月1回きりのお客様を100人集め、「その月の売上をつくって終わり」という状態だ。しかも、その売上を維持しようと思えば、毎月大きな割引を使い、100人のお客様を集め続けなければならい。100人もの新規客を毎月集め続けるのに、どれだけの経費と手間がかかるだろうか? 想像しただけでも、身震いするが、現在多くのお店が、この渦にはまって抜け出せない。

本書の狙いは、その「真逆」にある。

最初から「100回客」を集める。

今後、あなたのお店に「100回以上利用してくれるお客様」を、最初から狙って集客するのである。

私は、元・コンピュータ屋だ。美容院や飲食店に、「顧客管理ソフト」の提供と「顧客戦略」を実践するためのサポートをしてきた。自慢ではないが、過去に1800店舗以上の販売実績を持ちあわせている。そのなかで、効果の高い顧客管理のノウハウを身につけてきた。これを【店舗経営 売れる仕組み構築プログラム】として体系化することに成功した。現在では、独立し、このノウハウを全国に拡げるための普及活動と、実践したいお店への「顧客戦略ツール」の提供、およびその支援を行っている。

店舗経営「売れるしくみ」構築プログラム 4つのSTEP

私が提唱する【「売れるしくみ」構築プログラム】には次の4つのステップがある。

  • 第1ステップは、新規客を【集める】手法
  • 第2ステップは、お客様を【固定客にする】手法
  • 第3ステップは、お客様を【成長させる】手法
  • 第4ステップは、お客様を【維持する】手法 

このうち【第1ステップ・新規客を集める手法】と【第2ステップ・お客様を固定客にする手法】については、拙著『「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい!』(同文舘出版)で、また【第3ステップ・お客様を成長させる手法】については、拙著『お客様は「えこひいき」しなさい!』(中経出版)にて、さらに、【第4ステップ・お客様を維持する手法】については、拙著『お客様が「減らない」店のつくり方』(同文舘出版)にて、詳しく紹介した。つまり、4つのSTEPの全貌は、過去の拙著にて全てを紹介した。しかし、時代は進化する。中でも「新規客を集める方法」について、全く新しい手法が生まれてきた。前述したように、あなたのお店に「100回以上利用してくれるお客様」を、最初から狙って集客する方法だ。
本書では、その全貌を解き明かす。

本書で公開する内容

 デジタル社会となった現代。多くのお店がインターネットを活用した集客に必死だ。だが、じつはそこに大きな落とし穴もある。まずは、そこに問題提起したい。そこで、
第1章 では、そのネット集客も含めた、現代社会の「間違った新規集客方法」について指摘する。さらに、目先の売上よりも、「長期的な売上に目を向ける重要性」についてお気づきいただく。

第2章 では、「あなたのお店に新規客が集まらない「3つ」の理由」を解き明かす。さらに、この章を読み進めていただくと、「インターネットに打ち勝つ方法」の存在が明らかになる。とても大事な章となるので、ここは読み飛ばさずに精読していただくことをおすすめする。

第3章 では、いよいよ「100回客」を集める画期的手法ついて、総論を述べる。具体的活用方法については、その後の章になるが、その前に知っておかなければならない本質について説明する。この章を読まずして、ツールのみを活用してはならない。

第4章から第5章 が、本書の肝となる。「100回客」を集めるツールの「具体的な作り方」と「その活用方法」を、成功事例とともに説明する。複数の成功事例が紹介できることこそが、この手法が再現性の高いものである何よりの証拠となる。

最終章 では、本書の内容を簡単にまとめておこう。デジタル社会だからこそ、その逆を貼る。「商売の本質」について、最終章で語らせていただく。

ライバル店の常連客は、一生浮気をしないのか?

ここで、本書の考え方のヒントを紹介しておこう。
どんなお店にも常連客が存在する。他店の常連客はすでにその店の100回客といえるだろう。ただ、その常連客は、この先も、そのお店の常連客なのだろうか? 一生涯、その同じお店を使い続けるのだろうか? その可能性は極めて低い。いつの日か、必ず浮気する日が来る。必ず来るのだ。そのお客様を狙って、焦点をあてる。

ただ、そんな日がいつ訪れるのかが解らない。解らないなら・・・それを補う方法を考えれば良い。客単価も高く、利用回数も多く、優しく愛想もよく、あなたのお店を口コミまでしてくれる。そんなお客様を増やす方法を本書では解き明かそう。

世のどんなコンサルタントも提唱していない、

今から出会うであろう、まだ会ってもいない新規客と関係を育てる

という新しい経営手法を本書では公開する。

あなたのお店が、この後1年で閉店しようと考えているのであれば、本書の内容は必要ない。ここで本を閉じて、書店の棚に戻していただいて構わない。だが、あなたがこの先10年以上・安定して長い経営を続けたいのであれば、本書の内容はとても有益なものとなる。

その上で、冒頭に言っておかなければならないことがある。
本書の内容は、決して「楽して、儲かろう」というものでは無い。どちらかというと、面倒で、大変だ。しかし、だからこそ、手堅い。だからこそ、多くのお店が真似しない。私も全ての読者に真似して貰おうとも思わない。

  • フリーペーパー、割引チラシなどで、新規集客に限界を感じ始めた、
  • 集客サイト、SNSなど、ネット集客に疑問を抱きはじめた、

そして、何より

「当店の価値をご理解いただけるお客様」であふれるお店を作りたい。
そんなお客様に、愛されながら、楽しく、末永く、安定した経営をしていきたい。

そうお考えのあなたにこそ、この本を読んでいただきたい。

高田 靖久


目次(タップで開閉)open

はじめに

【第1章】ネット集客の落とし穴 ―間違った新規集客方法―

気づかれていない「ネット集客の限界」とは?

■間違った新規集客方法
■ネット集客の限界
■常連客を維持する、代表的な販促ツールとは?
■新規客を集める、代表的な販促ツールとは?
■「ニュースレター」と「配布メニュー」から波及した・新しい集客ツール

なぜ、「100回客」を集めることが重要なのか?

■最初から「100回客」を集める重要性
■「100人集め続けたお店」と、「10人集め続けたお店」の意外な結末
■「その月の売上をつくって終わり」からの脱却

【第2章】新規客が集まらない「3つ」の理由

あなたのお店に「100倍以上通いやすい」お客様

■大事な質問 
■「見込み客」は、果たして何人?
■あなたのお店に「100倍以上通いやすい」お客様

新規客が集まらない「3つ」の理由

■なぜ、新規客が集まらないのか?
■【理由1】あなたのお店の「存在」に気付いていない。
■【理由2】あなたのお店の「必要性」に気付いていない。
■【理由3】今通っているお店で満足している。

ネット集客に打ち勝つ「重要なヒント」

■見込み客が「新しいお店を選ぶまで」の流れ
■ネット集客に打ち勝つ方法
■ネット集客で悩んでいるあなたに
■インターネットで検索する前に、あなたのお店が選ばれる方法

【第3章】売上半減の業界から生まれた新規集客方法

「100回客」とは、どんな客?

■1人で「100人分」のお客様
■大事なお客様を維持する方法

売上規模が半減していた業界からの成功事例

■売上規模が半減していた業界とは?
■あなたにも襲いかかる「売上半減」
■ニュースレターで行き当たった問題点
■郵送経費をかけずにニュースレターを送る方法

販促物を「送らない」ことで生まれた販促手法

■「ファン客層」が多く生まれる地域は?
■「得意客層」が多く生まれる地域は?
■100回客になりやすいお客様
■新しいツールの誕生!

「ニュースレター」と「配布メニュー」を足した、 画期的ツール

■新規客が「10倍以上」集まった方法 
■新規客がザクザク集まり始めた理由
■新規客を集める重要な考え方
■「安さこそが価値」というお客様もいらっしゃる。しかし・・・

【第4章】「100回客」をザクザク集める方法

新規集客の新しいツール「バリューレター」とは?

■バリューレターの作り方
■バリューレターの全体像
■バリューレターの1ページ目(表面)は、こう作る!
■バリューレターで「価値観」を伝える重要性 
■「とあるお店」の正体
■伝える価値観が思い浮かばない場合は・・・ 
■顧客育成の重要性
■これから出会うであろう新規客を、先に育成する?
■メインコンテンツ作成の3つのポイント
■①「お客様目線」にするコツ
■②文章を読みやすく書く方法
■話し言葉にするもうひとつのメリット
■③「あえて長い文章」にする理由とは?
■キャッチコピーだけでは、商品が売れない理由
■バリューレターの2ページ目(中面・左)は、こう作る!
■バリューレターの3ページ目(中面・右)は、こう作る!
■お客様からあなたに、深い感情をいだいていただける方法
■見込み客には「先に」知っておいてもらう
■既存客には「もっと」知ってもらう
■プロの知識・見解を伝える
■クーポンをつける場合の注意点 
■バリューレターの4ページ目・(裏面)は、こう作る!

【第5章】100回客を集める!「バリューレター」の使い方

「新・ポスティングシステム」とは?

■バリューレターの画期的な使い方
■今までのポスティングとの違いとは?
■新・ポスティングシステムを業務に組み込む
■ポスティングを「業務の一環」にして、売上160%になったクリーニング店 『兵庫県・オカモトクリーニング』
■新規客が年間5倍増えているのは、常連客を大事にした結果
■ポスティングで客単価もアップ

バリューレターを使った、「新しい仕組み」

■なぜ、「狭い地域」に「繰り返し」撒くことが重要なのか? 
■多くのお店が「近くのお客様」を取り損ねている
■繁盛店でさえ、近くのお客様を取り損ねていた
■開業25年・移転後12年の繁盛美容院が、さらに近隣客の集客に成功。 『愛知県・フィットクラシック』
■田舎だって、都会だって、関係ない

お店の価値感を、地域に徹底して伝え続ける

■狙いは価値観で集客すること 
■価値を伝え続けて売上136%アップのガソリンスタンド。
■価値を伝え続けた結果
■価値観を伝え、客単価もアップ!
■新規客からの紹介も増えた
■セルフスタンドなのに、お客様とのコミュニケーションアップ

「100回客」を集めた後は・・・?

■新規客を「固定客」に
■固定客を「常連客」に 
■常連客を「維持」する
■売上があがり続ける仕組み

【最終章】さあ、100回客を集めよう!

おわりに・参考文献